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世界初の技術も生かしたこだわりが詰まった
激ムズダンジョン『アノマリー・クエスト』とは

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『ソードアート・オンライン -アノマリー・クエスト-』とはどのようなものなのでしょうか

 

2022年にアニメ10周年を迎えた『ソードアート・オンライン』の設定を使ったアトラクションとなっています。

キリトとアスナがなぜか敵で、ダンジョンの奥深くでプレイヤーを待つという、非常にセンセーショナルで強烈な専用の設定も用意しました。キリトとアスナを目指して、自分自身の力でダンジョンを攻略していく、独特なストーリー感を楽しんでいただきたいと制作しました。


 

『ソードアート・オンライン』を扱うのは最初から決めていましたか

 

いえ、どの作品と作っていくかというのは追々決定しました。ほかにも候補に上がった作品はあったのですが、作中でVR世界が舞台になっていたり、新しいテクノロジーや仕掛けを組み合わせるのに向いている作品でしたので『ソードアート・オンライン』で企画が進んでいきました。

『ソードアート・オンライン ‐エクスクロニクル‐』にもQUEST1と同じようなソードスキルを扱った体験がありましたが、なにか関連はあるのでしょうか 

 

実は設計段階からエクスクロニクルで行った、ソードスキルチャレンジを取り入れることを考えていました。今回もまたソードスキルを活用させていただきましたが、システムの流用を考えていたので、ほかのIPであっても取り入れたかったものになります。

 

ただ、そのエクスクロニクルも私が企画に携わっていたものでしたので、そういう意味ではどこか最初から『ソードアート・オンライン』とは繋がっていたとも思います。

ダンジョンのオープンまでに一番苦労した点はどこですか

 

スマートフォンなどを用いたオンライン参加の要素です。

たとえば、挑戦の観賞をしたり攻略の手助け、邪魔をする、など。ダンジョン内とオンラインとで相互に作用する仕組みを考えていたのですが、ダンジョン内では人数が制限されるのに対し、オンラインでは無限に増え続けてしまう。そういった理論上の矛盾点がいくつも出てきてしまい、まずは現場のエンターテインメントを優先させる結論になりました。

現段階では実装していないものではあるのですが、一番苦労した点になります。

一番のこだわりポイントはどこでしょうか

 

ダンジョン挑戦時にアイテムが持ち込めるのですが、このアイテムとゲームのバランス調整にとくにこだわりがあり、チーム内でも「よくできた」という話をすることが多いです。「持ち込む」、というのも実物的なものではなく、デジタル側からバフ(ゲームにおいてキャラクターの能力値などを上昇させ、攻略を助けるもの)をかけてくれるものになっています。

これが非常に困難な仕組みでして……。
多くのデジタルゲームに存在するバフは、キャラクターの攻撃力1万を20%アップで1万2千に、3倍で3万にというように、ゲームの内側から数字を扱うシンプルな仕組みになっています。

対して今回のダンジョンでは、プレイヤーは生身です。ゲームの内容はロープを引く、網をくぐる、などと肉体的なアトラクションが多く、それを数字的に調整するのはとてもむずかしいものでした。
飲むと視力が上がるドリンク、ダンジョンに入ったら足が早くなる、といったプレイヤーに直接影響を与えることはできるわけがありませんし、バフに合わせて毎回ロープを取り替えるのも現実的ではありませんでした。

最終的には、QUEST内でダーツのターゲットが大きくなったり、ロープを引くセンサーのパワーの伝わり方が変化したりと、それぞれの仕掛けを活かしたバフというのを完成はさせましたが、非常に大変でした。
肉体的なアトラクションにデジタル側からバフをかける、世界を探しても初めての取り組みでもあったので、ここはひとつのこだわりポイントだと考えています。
 

原作を知らない方でも、このアトラクションは楽しめますか

まったくわからなくても楽しめるようにつくっています。とは言いつつも、『ソードアート・オンライン』の設定を活かしているので、せっかくなら原作も少しは見て欲しい気持ちはあります。とはいえ、「キリトとアスナが強いらしい」という程度の知識があるだけで、十分に楽しめるはずです。

 

逆に、コアなファンに向けてのポイントはありますか

 

あるのですけれども、同時に大きな反省点でもありまして。注目してほしいのはもちろん最奥で待ち受けるキリトとアスナになります。ですが難易度はご存知のとおりで、ファンの方々には「キリトとアスナに会いに行くの、超大変なんすけど」とよく言われています。「QUEST3までいけばほかのキャラには会えるけど、肝心のキリトとアスナに俺たちはいつになったら会えるんだ」と。

申し訳ないという気持ちにはなりつつも、 それ相応の強烈なカタルシスが得られるようにはつくっています。クリアしたら一生ものの体験になるような仕掛け、ストーリーが用意されています。
ストーリーであったりも基本的には口止めさせていただいているので、ファンの方々には、なんとかクリアしてそれを見てほしい。というのを強く思っています。それが、あまりにも難しすぎるという点が反省点ではあるのですが。

「最後のところ、これ体験できたら最高だよね」というところから企画に盛り込んでいるので、ファンの方々にはぜひクリアしてほしいと強くお伝えしたいです。



難易度の話もありましたが、2023年4月14日から11月8日時点でのクリアパーティーは3組でした。クリアパーティー数は想定内でしたか


初の完全攻略者は4か月半ほどで誕生したのですが、挑戦回数は100~200回ほどでした。私たちが設定したクリア目安が100回でしたので、クリアまでの期間、挑戦回数ともに想定内だと言えます。

ただ、2日目にしてQUEST5が突破されたのは、驚きました。元々施設のオープン当時には、QUEST5がクリアのような見せ方をしていたので、制作チーム、プレイヤーともに困惑状態だったと思います。私たちとしては「早々に完全攻略者が出るのでは」と少々焦りました。


 

各QUESTのクリア率はどれくらいなのでしょうか

1つ目の関門であるQUEST3の3部屋をクリアするのが10パーセント未満、QUESY4では3パーセント未満、 QUEST5は1パーセント未満というようなイメージをもって設計しています。ただ何度も攻略している方は、ほぼ確実に5までクリアしてしまうので、これはあくまで目安の数字にはなっています。


『ソードアート・オンライン-アノマリー・クエスト-』を運営していく中で手応えを感じている部分はあります
 

まずはじめに、オープンしてすぐにおもしろさの実証ができたということです。おもしろさの実証はとてもむずかしいもので、理屈ではできているはずなのに、跳ねないケースも十分にあるのです。そうした中でオープンして最初の1ヵ月で、多くの方々に殺到していただき、喜んでいただけました。

そして6月末には1Day ランキングイベント戦というのを開催しました。
”攻略組”のチームがほぼ全員集合して、スコアを競い合ったのですが、それがもう本当におもしろく、当事者のプレイヤーは当然のこと、裏からモニター越しで見ている私たちも常にハラハラドキドキしていました。

挑戦を終えて帰ってくると、プレイヤーたちが健闘を称えあいながら「スコアいくつだ⁉」「うわっ1位だ‼」などと最後の最後まで息をもつかせぬ盛り上がりを見せてくれました。

 

最後はチャンピオンになったチームのひとりが「元々ほかの方々とチームを組んでいたんだけど、都合がつかずに別の方々と組んでいるんです。来れなかった仲間とも分かち合いたい」と、涙ながらに語ってくれました。

そんな話でスタッフもプレイヤーももらい泣きし、ダンジョンのコンセプトとして「それぞれの得意不得意を補い合って”チーム”で乗り越える」という設計をしているので、最大の手応えを感じることができました。

2度目に開催したイベントも同じようなものでしょうか

11月にも同じくランキングイベントを行いましたが、このイベントでは1日だけでなく、一定の期間を設けた中でスコアを競っていただきました。ですから前回とは違い、あらゆる人が、あらゆるタイミングで競えるようにもなりました。

 

またイベントを開催するうえでポイント・狙いにしていることもありました。

『THE TOKYO MATRIX』では何度も攻略して奥を目指すというシステム上、攻略に”慣れ”が出てきます。そうすると処理的になってしまう部分が生じてしまうのです。ですが、ハイスコアを出すにはただクリアするだけはいけないので、そこを楽しく真剣にプレイしていただくためにもスコアのランキング戦を用意させていただきました。

主題歌についても少し伺ってもいいですか

ReoNaの「Weaker」ですね。今回主題歌をつくるにあたり、『ソードア-ト・オンライン』に関連するアーティストということでReoNaさんに手を挙げていただいたので、私たちとしても是非とお願いさせていただきました。

 

作曲に関して私がしたことは、施設のテーマやコンセプトを細かく伝えただけになります。その僅かな情報だけで数ヵ月後にはすばらしいデモができ上がっていました。

前奏からオーケストレーションを入れて、ファンファーレで冒険に出る雰囲気もつくっていただいて、施設のコンセプトにぴったりハマった力作ですので、是非たくさん聞いてほしいです。

プロデューサーの松平 恒幸さん、取材風景

取材風景:学生たちわかりやすいよう、気さくに丁寧に話していただきました。

「VRは進化し続ける。だけれども、
『リアルの価値』はなくならない」

今後、体験型のアトラクションやコンテンツは増えていくと思いますか
 

思います。強く思います。
やはり自分が主人公というか、自分自身が頑張る体験は、エンターテインメントとしての重みが違うと思うのです。 どこかに足を運ぶ、それそのものに強い価値があると考えています。ですからコロナで失速しなければ早々に増えていたとも思います。実際にそういったエンターテインメントの要望は多くありますし、3年間ほど止まっていたものが、今また始まっているという感じです。

 

そして人間はきっと今その場で、同時に感動を味わうということも好きなんだと思います。ですからネットやVRといった技術が進歩していく中でも、「リアルの価値」はなくならないと思っています。

『ソードアート・オンライン』の繋がりでフルダイブ技術(仮想現実と五感すべてを接続することで現実のような没入感を得られる概念)について考えることはありますか
 

フルダイブについては数えきれないほどに何度も議論を交わしてきました。

 川原礫先生も過去にインタビューなどでブレインマシンインターフェイス、要するに脳とデバイスを直接紐付けるという技術はものすごく大変だとおっしゃっていたと記憶しています。私個人としても、この技術というのはそうそう実現しないだろうと思っています。

 

ただ、VR自体はいわゆるフルダイブではなくても、 十分に楽しめるコンテンツとしてできてきています。それに技術は2年に一遍ずつぐらいに劇的に進化していくので、VRのゲームもどんどんおもしろくなるだろうとは思います。
 

​『THE TOKYO MATRIX』の今後の展望や目標をお聞かせください

まずその前に先ほど申し上げたように、『THE TOKYO MATRIX』自体は、体験の設計から、楽しみ方や作り方まで全てが新しく、ほかにあまりないものになっています。スマートフォンで自分のIDを作って、アバターを紐付ける、というところから始めますが、通常のアトラクションにはない点ですね。

 

その中で半年運営をしてきて、目論見とバチッとあったところ、外れてしまったところ、それぞれが両極端でありました。それらを更に楽しみやすい形に変えて、多くの人たちにのめり込んでいただけるような、最高のエンターテインメントにしていきたいとは思っています。 


この歌舞伎町でエンターテインメントの施設をやると決まったときに、やるなら日本で一番おもしろくしたい、という気持ちが強くありました。ですから言葉など交わさずとも遊べるアトラクションにしていたりします。

 

一番の目標は、現在は実装していないのですが、誰もがスマホで思わず、アクセスしてしまうような場所にすることです。週末になれば、みんながそわそわし始めて、「今日誰がクリアしてんだろう」とスマホで確認する、そういった場をつくっていきたいと思っています。​

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